企業が伸びる条件

今日は一般的な話ではなく、コンサルタントとしての話を書きます。

私が携わっている「中小企業活力向上プロジェクト」では、中小企業診断士を企業に派遣して企業の課題発見や中期計画書を作成している。その作成に先立って、各企業に事前に自己チェックシートを作成してもらっている。

このチェックシートは70項目の質問があるのだが、いわゆる儲かっている会社と儲かっていない会社の間で差が出るチェック項目は5つある。差が出やすい順に並べると以下の順位になる(いずれも、儲かっている会社は、出来ているという回答率が高い)。

1.「事業を継承する候補者を定め、計画的に承継を進めている」

2.「技能やノウハウの継承を含めた、OJTを計画的に実施している」

3.「経理や会計手続きがルール化されている」

4.「外部の専門家を有効に活用している」

4.「社員を社内外の勉強会やセミナーに積極的に参加させている」

 「事業承継が上手くいっていない会社」、「経理・会計手続きがルール化されていない会社(たいていの企業はルール化されているが、それが関係者に理解・浸透されていないため、最終責任者が混乱して事実上ルール化されていないに等しい会社が多い)」、「外部の専門家を活用していない会社」は利益率が低い傾向にあることは、他の統計資料でも同様な結果が出ているが、改めて従業員育成の項目がOJT,Off-JTの両面で出ていることが面白いと思った。

自分の知っている企業で、今勢いの良い会社が2社ある(1社はこの1年で売上を3割程度伸ばしているし、もう1社は未だ結果が出ていないが、事業コンセプトに対する考え方が変化しつつあり、多分、来年は結果を残していると思う)。

この2社の共通点は社内の人間関係が非常に良好である。だから、従業員の会社に対する想いが強く、向上心が高い。

コンサルタントとして改善支援を行う時に、短期・・・営業手法の改善・コスト削減、中期・・・新商品開発、長期・・・従業員教育を主眼に置いて行う事が多いが、改めて個々の従業員の能力の向上と、社内全体のの人間関係の良好は大切という事を考えさせられた。皆様、職場の人間関係は良好に保ちましょう。

 *財務は総合力の結果なので、資金繰り問題が喫緊でない限りは上記手段を打てば自然に解決してくる場合が多いと思う。もちろん、常時の定量的把握は必要だが、BS/PLが先に作成され、後追いで方針をつくるとたいていの場合は失敗する。むしろ、方策とBS/PLの連動性を充分論議し、方策中心で練り上げた方が結果的にBS/PL目標達成をしやすいと思う。俗に言う「金の話しのできない経営者は論外、金の話しかしない経営者は最低」という事だと思う。